ぴよもんの人生の話*幼少期編*
恨みでも憎しみでもいいから、何か心に爪痕を残して欲しかった。
誰も欲しがらないそんな思い出すら、あの子と私の間にはない。
ただ何もない、本当の絶望。
あの子を思い出すときに感じるのはそんなことしかない。
私がまだ8歳だったころ。
母のお腹から出てきた私の妹は命を持っていなかった。
あんなに会えるのを楽しみに楽しみにしてたのに…。
妹の顔を初めて見たのは、あの子のお葬式。
棺の中でただ眠っているだけに見えた小さな赤ちゃんは数時間後には凄まじい温度の炎にやかれ骨だけになってしまいました。
かわいい妹がこの世界から消えていくときに何もできなかった。
私はなんて無力で無価値な人間なんだろう…。
そんな絶望の中にいた私に手を差し伸べてくれる人は誰もいなかった。
妹の死の直後から学校ではいじめられるようになりました。
死産のショックから立ち直れない母はそんな私を毎日責めました。
どうして学校でうまくやれないの?
今日も面談で私が恥をかいたわ、あんたのせいで。
どれだけ私がみっともない思いをしてるかわかっているの?
お友達ができないのはあんたが何もできない無価値な人間だからよ。
それなのに被害者ぶっちゃって何様なの?
何不自由ない生活させてやってるのに何がそんなに不満なの?
あんたなんかにお金をかけてやってるのに何も親のありがたみをわかってないわね。
母の不満を全身で受け止める毎日でした。
父親だけは唯一味方だったのですが。
病弱だった父は入院中に薬害肝炎になり、薬の副作用でうつ病になってしまいました。
家庭にも学校にも社会にも不信しかない。
通り魔事件が起こるたびに、
ころしたいなら、私をころしてくれればいいのに。
そう思うことは絶望ですらなく、睡眠欲のように自然な欲求でした。